9・3南部反弾圧学習会のお知らせ(2019)
9・3 南部反弾圧学習会
1960年代、米国で核兵器にも耐えられる通信方法として研究が開始されたパケット通信は、1970年代~1980年代には学術ネットワークとして拡大、1990年代には商用インターネットへと普及した。その後民間利用が一挙に進み、21世紀の現在は「ネット社会」と言われるまでに、社会の隅々まで“インターネットの網”が蜘蛛の巣のように張り巡らされている。通信インフラとしてだけでなく、私たちを取り巻く環境の様々な要素がネットでつながり、あふれ出した情報は社会の在り方や個人の価値までも規定するほどになっている。
あらゆるモノがネットにつながる"IoT"(Internet of Things)に加え、身体がネットにつながる"IoB"(Internet of Bodies)も登場し、人体から得られるビッグデータを活用したビジネスや、個人にかかわる様々な質問に対する回答をもとに、人工知能(AI)がスコアをはじきだす「信用スコア」と呼ばれる事業も展開されている(個人情報をさらすほどスコアが上がりメリットが還元されるため、個人がこぞって自らの情報を登録しているという)。
一方、サイバー空間における技術の発展は、国家における軍事力としての「サイバー戦争」にまで行きつくとともに、国家権力による民衆の管理・監視のツールとして力を発揮してきた。2013 年には、Edward Snowden氏が米国家安全保障局(NSA)を内部告発したことで、国家によるデータ傍受の実態が全世界に明らかになった。
日本においては、最近だけでも「著作権保護対策の緊急手段」の名のもとに「(サイト)ブロッキング」(政府によるインターネットの検閲)のための法律が上程され(未成立)、「電気通信事業法および国立研究開発法人情報通信研究機構法の一部を改正する法律」の成立を受けたIoT機器の脆弱性調査の実施(政府による違法なハッキング行為)、犯罪捜査における「テキストマイニング」(文体分析や法言語学など思想信条や言論表現をこの手法で分析する)、ポイントカード最大手の一つ「Tカード」を展開する会社=CCCが、氏名や電話番号といった会員情報のほか、購入履歴やレンタルビデオのタイトルなどを、裁判所の令状なしに捜査当局へ提供していることが判明するなど、権力による違法・違憲の疑いのある捜査や監視活動が強められている。
インターネットの代名詞となったワールド・ワイド・ウェブの発明者であるティム・バーナーズ=リーは、「インターネットシステムは破綻している」と述べた。VR(仮想現実)というコンセプトの発明者であるジャロン・ラニアーは、「ソーシャルネットワークのアカウントをいますぐ削除すべき」と断言する。ティム・バーナーズ=リーは、彼の「創造」が一部のプラットフォーム企業によって 「武器化されている」と懸念する。フェイスブックの初代社長であったショーン・パーカーは、ソーシャルネットワークの設計目的のなかには、ユーザーを心理的に操作する危険な思惑が実装されていると警告した。
「IT 技術の発達」と「ネット社会」はどこに行きつくのか? 民衆に対する国家権力による管理・監視体制にどう対抗するのか? 民衆の闘いにとってのインターネットとは? 小倉利丸さんからの提起を受け、忌憚ない意見交換と活発な討論をしたいと思います。
ぜひ、ご参加を!
主 催:南部地区労働者交流会
日 時:2019年9月3日(火)午後6時30分~9時
場 所:南部労政会館(大崎駅南口から徒歩3分)
★呼びかけビラはこちら (PDF)